2022年1月22日土曜日

ワークショップ・デザイン 知をつむぐ対話の場作り

こんなひとにおすすめ!


会社からワークショップを開催しろと言われてしまって困り果てている人。例えば、「残業時間が多いから残業時間を軽減するためのアイディアを募ること」などを言われている場合など。


読書にかかる時間


240ページ。ひじょうに読みやすいのでだいたい3〜4時間。


あらすじと感想


近年、企業にとって集合知というのはイノベーションや問題解決において大変重要なファクターとなっており、集合知を活用する方法としてのワークショップは重要性を増してきている。

本書ではワークショップを1つの設計対象として捉え、設計プロセスとワークショップを構成するアクティビティ(手法)を数多く例示している。この手の本でよくあるパターンとして、ワークショップの構成例の紹介と勘所を示しているだけで、参考程度にしかならない本が多いのだが、本書は設計プロセスが明確にされているため、ゼロからワークショップを設計する人にとってはたいへん貴重な情報源になるだろう。

特に本書は設計プロセスと手法を組み合わせた「型(デザインパターン)」を多数例示(「課題を発見するワークショップ」や「イベントを企画するワークショップ」)するなど、即現場の課題にも適用できそうなレベルのネタがあることがたいへんありがたい。

また、本書はワークショップを開催する側だけでなく、ワークショップを受ける側についても、ワークショップの設計者がどのような意図でアクティビティを実施しているかという新たな視点をもたらしてくれる。これによって、読者はワークショップの設計スキルだけでなく、ワークショップを評価するという能力も獲得でき、一石二鳥の本であると感じた。

総評


お値段2000円。読書時間3〜4時間。十分にコストに見合う本であるといえる。ワークショップに関連する人はぜひ読んでいただきたい。